キャラクター紹介

- さやかさん
- 34歳の初産婦さん。
妊娠は嬉しいけど、わからないことだらけで不安がいっぱい。
不安になると、ついつい夜中までネットで検索してしまうことも。

- ゆたか先生
- 産婦人科専門医+臨床遺伝専門医の資格を持つドクター。妊婦さんの不安に寄り添いたいと出生前診断専門クリニックを開設した。
とっても穏やかで優しい性格。
羊水検査

ゆたか先生!羊水検査について教えてください!

こんにちは、さやかさん。今日はどうしたのですか?

ネットで「羊水検査ならいろいろ確実にわかる」と書いてあって…。本当に全ての異常がわかるものなのですか?

そうだったのですね。
では、羊水検査についてひとつずつ理解を深めてみましょう。
時期や費用などの項目は右側にまとめておきますね。

はい。よろしくお願いします!
羊水検査について
費用:当クリニックの値段設定
時期:妊娠16週~18週頃
※状況に応じて上記の時期以外に実施される場合もあります。
- メリット
- ⇒21trisomyなどの染色体異常症について確定診断ができる。
- デメリット
- ⇒お腹に針を刺すので流産のリスクがある。
染色体異常症以外の疾患は診断できない。 - *一般的に流産率は0.3%程度と言われています。
羊水検査の方法

- 羊水検査は、子宮に細い針を刺して、羊水を採取します。
- 羊水中には、胎児からはがれ落ちた胎児自身の細胞が含まれています。
- この細胞を使って胎児の染色体を調べます。
- 調べる方法には、Gband法、FISH法などがあります。
詳しく見てみましょう!

羊水検査では
どうやって赤ちゃんに染色体異常症があるか調べているの?
<Gband法>20細胞ほど調べることが多いです。
-
採取したばかりの細胞は、染色体が細い糸のように絡み合っています。 これだと、何番の染色体が何本あるのか、どこか欠けている部分があるのか、見てもわからないですね。
- 培養(2週間)↓
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培養すると、染色体が1本ずつまとまった状態になります。 - ↓
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パソコンに染色体の写真を取り込み、ひとつずつきれいに並べていきます。 染色体の本数や、大きさなど見やすくなりましたね!
羊水検査 Gband法

- <メリット>
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- 全ての染色体について本数の異常がわかる
- 顕微鏡で見える範囲で、欠失や転座(染色体の一部が入れ替わる)がわかる
- <デメリット>
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- 結果が出るまでに2週間かかる
- 顕微鏡でも見えない微細欠失などはわからない
→マイクロアレイ検査が必要 - トリソミー細胞などの異常細胞は培養しにくいことがある
→モザイク型(正常細胞と異常細胞が混ざっている)の赤ちゃんは検出できない場合がある
羊水検査では
どうやって赤ちゃんに染色体異常症があるか調べているの?
<FISH法>プローべ(特定の染色体だけ光らせる染色液)を使います。
例)21番染色体だけ光らせる など
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採取したばかりの細胞は、染色体が糸のように絡み合っていて、何番の染色体がいくつあるのか、見てもわかりません。 - ↓
-
プローべ(特定の染色体だけを光らせる染色液)を細胞に流します。 - ↓
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例えば、21番染色体が2本光れば正常、3本光れば21トリソミーだとわかります。
プローべに反応した特定の染色体が光るため、その染色体の本数を調べることができます。
羊水検査 FISH法

- <メリット>
-
- 特定の染色体について本数の異常がわかる
13番、18番、21番染色体などを調べることが多いですが、
検査会社にプローべがあれば、8番や16番染色体など、
その他の染色体の数的異常を調べることも可能です。 - 培養する必要がないので1~2日で結果がわかる
- 低頻度モザイクなどの染色体異常症の検出に優れている
- 特定の染色体について本数の異常がわかる
- <デメリット>
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- 全ての染色体を調べることはできない
- 部分欠失・重複・転座(染色体の一部が入れ替わる)などはわからない
21番のプローべを使った時に3箇所光る
=21番染色体が3本ある
=21trisomyである
ということがわかりますね。

発展編 羊水検査 FISH法
なぜ低頻度モザイクの
検出に優れているの?



ゆたか先生、FISH法のメリットで「低頻度モザイクの検出に優れている」とありますよね。これはどういうことですか?

そうですね。
それでは、まず「低頻度モザイク」の赤ちゃんがどのような状態なのか、考えてみましょう。右上の図を見てください。

赤ちゃんに正常細胞とトリソミーの細胞の両方がありますね。

良いところに気が付きましたね。「モザイク型トリソミー」の赤ちゃんは、正常細胞とトリソミー細胞の両方を持っているんですね。「低頻度モザイク」とは正常細胞の数の方が多く、トリソミー細胞の数の方が少ない状態のことを指します。

なるほど。さっきのGband法でモザイクを見つけることはできないんですか?

もちろんGband法で見つけられる場合もあります。しかし、Gband法では細胞を培養してから見ていましたよね。正常細胞でも、培養して染色体が上手くまとまる細胞はさほど多くないので、一度にたくさんの細胞を見ることが難しいのです。
調べる細胞の数が少ないと、正常細胞だけを見てしまう可能性があるんですね。
そこでFISH法の出番です。
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- ↓
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- ↓
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採取した細胞を培養する必要がなく、そのまま使用することができるんですね。培養が必要なGband法では、通常20細胞程度を調べますが、FISH法では短時間で100細胞以上調べることが可能です。

上の図を見てわかるように、FISH法では正常細胞の中にトリソミー細胞が混ざっている状態が見やすくなっていますね。
羊水検査 まとめ

羊水検査の結果って、「ダウン症かどうかがわかる」くらいシンプルなものかと思っていました。もしも、モザイク型だったら、どのくらいの症状が出るのかわかるのですか?

モザイク型は羊水中に浮かんでいる赤ちゃんの細胞をみているので、実際どの程度の割合でトリソミー細胞が赤ちゃんに含まれているのかまではわかりません。よって、産まれてからしか症状の程度はわからないんですね。

そうなんですね…。もしも、モザイク型や、その他の転座、欠失などの結果が出たらどう受け止めたらいいのかわからないですね…。

結果の解釈が難しいこともありますよね。だからこそ、検査を受ける時には遺伝カウンセリングが重要になるんですよ。そのためには、臨床遺伝専門医のいる施設で検査を受けることが勧められます。羊水検査だけではわからない部分については、超音波検査で赤ちゃんに身体の病気がないか、順調に成長してくれているか確認することも大切ですね。

もしものときに困らないように、検査を受ける場合は正しい知識を持つことが必要なんですね。大切な赤ちゃんのためにも、しっかりカウンセリングしてくれる病院選びが大切ですね。
マイクロアレイ検査
通常の絨毛検査、羊水検査ではG bandという方法で行います。染色体を染色して顕微鏡で観察して変化を見ます。5Mb~10Mbというレベルの変化を見つける事ができます。では、3Mbの変化は分からないのでしょうか?→分からないのです。もっと小さな単位Kbの変化も分かりません。
そこで、マイクロアレイ検査を行うと400Kb程度までの変化を見る事ができます。分かりやすく言うと、通常のGbandより約1/100のレベルの変化まで見ることができます。このレベルの変化で分かりうる疾患は、微細欠失症候群等が挙げられます。例えば、1p36欠失症候群、22q11.2欠失症候群等数多くの欠失症候群が知られています。
また、このマイクロアレイ(SNP)は、相同性というものを調べる事ができるため、片親ダイソミーという状態を調べる事が可能です。通常、ご両親から1本づつの染色体を受け継ぐのですが、片親から2本の染色体を受け継ぐ場合があり、このような場合を片親ダイソミーといいます。特に問題がない場合もありますが、例えば、15番染色体を片親から2本を受け継いだ場合、プラダーウィリ症候群、アンジェルマン症候群と言われ、疾患を発症する場合があります。
しかし、マイクロアレイ検査を受けるにあたり、以下のようなことに注意が必要です。
- ①細かい欠失(重複)を調べる事により、VUSといい、病的かどうか分からない欠失(重複)が 見える事があります。その場合、不安になってしまう恐れがあります。
- ②相同性を見る事により近親婚が分かってしまう場合もあります。
上記理由により、マイクロアレイ検査を受ける場合、臨床遺伝専門医のいる施設での検査が望まれます。